「セリーヌ(CELINE)」は1日、エディ・スリマン(Hedi Slimane)による2シーズン目のウィメンズコレクションを発表した。賛否両論の嵐が吹き荒れた1シーズン目とはガラリと内容を変え、その方向転換は端的に言えば大成功。黒とスキニーとミニスカートとロックから離れて、ブラウン系の上品かつフレッシュな「セリーヌ」ウーマンへ。“これでどうだ!”と言わんばかりの、パワフルなエディ流「セリーヌ」は今後、マーケットをリードしていきそうだ。
招待状に同封されていたのはファーストシーズン同様、分厚いノート。前回はそこにエディが撮影した夜のパリの風景写真を載せていた。今回は写真はなく、7色の紙。暖かみのあるブラウン系に金と銀を加えたカラーパレットで、そこに黒はない。そのメッセージがある意味すべてだった。
“パリジェンヌのワードローブはミニマルで着回し上手”などと言われるが、新生「セリーヌ」のアイテムのラインアップも明快で、“これさえ着ればエディ流グッドガールになれる”定番のワードローブが厳選されている。黒はほぼなく、全編暖かみのあるカラーパレットでまとめた。
中でもキーアイテムは膝下丈のキュロット。超ミニ丈を好んできたエディのこれまでの作風からは大転換だ。メンズスーツに使うようなウールのチェックやヘリンボーン、レザー、デニムなどとバリエーション豊かな生地で、時にプリーツを入れるなどゆとりのあるシルエットがコーディネートの核となっている。
キュロット以外のワードローブも明快だ。ボトムスはプリーツスカートに、洗いをかけたデニム。インナーは襟を小さなフリルで飾ったシャツかボウタイブラウス、もしくはハイネックセーターで、いずれにしても胸元は開けない。アウターはヒップが隠れる丈のテーラードかノーカラーのジャケット、トレンチコートにライダース、ピーコート、スタジャン、極寒用にムートンのコート。そして、必須アイテムであるプリントの膝下丈ワンピースを数枚。後半には夜のシーンに映える総スパンコール刺しゅうのシリーズも登場するがアイテム自体はデイウエアと同じだ。
アクセサリーは、レトロな金具の細ベルトが非常に重要で、加えて華奢なゴールドのネックレスと首もとを彩るレトロなスカーフ。バッグは小ぶりのショルダーがメインで、ニーハイブーツで素足は決して見せない。そして、唯一ロックなティアドロップのサングラスでスタイリングを完成する。
前季のデビューコレクションは、エディの前職である「サンローラン(SAINT LAURENT)」をそのままスライドしたような内容だったが、今回はパリのマダムに愛されてきた上品な「セリーヌ」の要素をエディ流に解釈。前任者フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)とアプローチの方法は異なるが、ブランドのDNAの再解釈という、クリエイティブ・ディレクターに期待される役割をきっちりやり遂げた。ただし、ラストルックだけは前シーズンから提案するユニセックスなパンツスーツで意地もちらり。それも含めてマーケットから見ても売りやすいアイテムだけに、エディが提案する現代のパリジェンヌのワードローブは今後、トレンドをリードする存在になりそうだ。